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ウォーキングするなら「インターバル速歩」!ミトコンドリアを増やして健康に

お散歩好きな方は多いですよね。運動嫌いの人でも続けられる簡単な運動の代表が「ウォーキング」です。始めやすく、手軽な有酸素運動です。
信州大学大学院医学系研究科の能勢博教授によりこのインターバル速歩が開発されました。

歩行

 

インターバル速歩とは?


インターバル速歩とは、通常のウォーキングのように一定したスピードや心拍数を保っての歩行は筋力・持久力の維持はできても向上させることが難しいとされています。そこで、歩き方を少し変えるだけで効率よく筋力・持久力アップできるのが「インターバル速歩」です。
インターバル速歩は、通常ウォーキングの間に、速歩を間隔で取り入れた歩行運動で、負荷が少なく運動が苦手な方でもできるウォーキングです。
筋肉に負荷をかける「速歩」と少ない負荷の「ゆっくり歩き」を数分間交互に繰り返すインターバルウォーキング方法は気軽に誰でもすぐにできます。
下肢の筋トレによる筋力アップだけでなく、骨密度の増加や生活習慣病リスクの改善にも効果を発揮します。インターバル歩行は、1日約15分〜20分(文献によって様々です)程度の歩行運動なので、手軽に長く続けられ、体力のない高齢者の方や、時間がなかなか確保できない忙しいビジネスマンの方におすすめの運動法です。

インターバルトレーニングって?


インターバルトレーニングの効果は非常に大きいものがあり、心肺機能を限界近くまで高めることができます。
どうして短い距離でトレーニングする方が心肺機能を高める事ができるのか?を理解している人は意外に少ないです。

トレーニングの生理学的基礎をよく理解し、納得してトレーニングしたいものです。インターバルトレーニングの効果が上がる理由と言うのは、例えば50メートルと100メートルを全力で走ったときを比べてみると、どちらも走り終わった後で心拍数が上がり呼吸も荒くなります。ですが、100メートル走のときの50メートル地点で拍数が上がり息が高ぶることはないとおもいます
これは身体が運動を中止した時に、身体を早く正常な状態に戻そうとするからです。

インターバルトレーニングは身体の回復時に1回拍出量(心臓1拍動によって押し出される血液量)の最大値が出現することを利用している方法で、色々なトレーニング方法の中でも珍しいトレーニング方法と言えます。
この身体の仕組みを利用したのがインターバルトレーニングであり、短い全力運動でも間に休憩を挟む事で、同じ時間、同じ距離しか運動しないのに、何度も心拍数を最大まで上げさせることができ、その結果心肺機能を鍛えることができるのです。

インターバル速歩で「ミトコンドリア」を増やす


インターバルトレーニングの秘密はエネルギー産生を担う細胞内の「ミトコンドリア」を増やすことです。
ミトコンドリアとは、私たちの細胞の中にある小器官の一つで、細胞全体の10~20%を占めています。細胞によっては、100~3000個のミトコンドリアが含まれており、さまざまな役割を果たしています。
その中でも最も重要な役割が、エネルギーを作り出す働きです。
ミトコンドリアでは、食事から摂取した栄養と、呼吸から得られた酸素を使って、ATP(アデノシン三リン酸)というエネルギーを放出する物質を作り出します。
ジョギングを始めると、同じ距離を走っても、最初のうちはとてもきつかったのに、走るのに慣れてくると、それほどきつく感じなくなります。
これは、運動によってミトコンドリアが増えるため、呼吸で取り込む酸素量はいっしょでも、効率的に酸素を使えるようになったためです。

最初は、エネルギーを生み出すのに必要な酸素が無駄になるため、ハアハアと息を切らします。
しかし、走ることで体内のミトコンドリアが増えてくると、エネルギー代謝がよくなり、酸素を有効に使えるようになるので、息を切らさずに走れるようになるのです。
このミトコンドリアの量は人によって異なり、多い人は酸素を効率的に使う事でエネルギー代謝がよく、疲れにくいスタミナのある体といえます。ミトコンドリアは運動によって増やすことができるためスポーツ選手や若い方に多くあり、運動不足の方やご年配の方は少ない傾向にあります。
このミトコンドリア、30歳を過ぎたころから加齢とともに減少していきます。しかし、加齢とともに減少するばかりではなく、高齢者の方にも意図的に増やす方法があるんですよ!

 

ミトコンドリアを増やす方法


少しきつめの有酸素運動を合間に取り入れる

ミトコンドリアはウォーキングやジョギング、自転車漕ぎ、など一定の速度を保った有酸素運動を行っている合間(インターバル)に、 少しきつめの動作を合間に取り入れることで、ATP産生が間に合わず、あわててミトコンドリアを増やし、エネルギー産生を保つようになっています。
つまりインターバル速歩やエアロバイクでのインターバルトレーニング(HIT)はミトコンドリアを増やす効率的な運動であるといえます。

空腹状態で運動をする

ミトコンドリアはエネルギーが枯渇した状態になると体にエネルギーを必要とし、その際に運動を行うと必然的に増やす働きをします。だからといって、長期の断食や絶食を進めているわけではありません。かえって体を壊しかねません。運動直前の食事はなるべく控える事がポイントです。

 

インターバル速歩のやり方


インターバル速歩の特徴は歩くことに負荷の強弱をつけることで筋力アップさせるウォーキングです。大股歩きでのインターバル速歩は出来る事ならそのペースで歩くのがいいとされています。しかし、どんなに元気な方でも次第に疲れて速歩し続けるのは無理です。
「インターバル速歩」では普通歩行に負荷を与えた大股歩きの速歩を一定時間だけ間に取り入れることで筋力・持久力の向上をはかれます。

  • 歩き始めの約5分~10分はゆっくりペース:最適心拍数約100拍~110拍
  • 次に大股歩きで息が上がるほどの速歩を約5分(3分)間続ける(無理せず3分でもOKです):最適心拍数約120拍~130拍
  • 再びゆっくりペースに戻し約5分(3分)間歩き、そのあと速歩という具合に交互に繰り返す

※ 今回はスマホで体験してみました。アプリを簡単にダウンロードできるのでおすすめです。
※インターバル歩行のトータル時間は約15分~20分間が最適です。無理せずできる範囲で始めるといいでしょう。
心拍数の数値は年齢によって異なります。
※速歩とゆっくり歩行と速歩を合わせて約10分で1セット。1日2セットで20分間のインターバルウォーキングしましょう。

姿勢の7つのキーポイント


  1. アゴを引いて目線は遠くに
  2. 背筋を伸ばして胸を開く
  3. お腹を引っ込める
  4. 肩の力を抜く
  5. 前に出した足はかかとから着地する
  6. 足を蹴り上げる時は足先で蹴る
  7. 手は前ではなく後へ大きく振る

といった7つのポイントを意識しましょう。

そうすることで体内に多くの酸素を摂り入れたり、全身の筋肉を多く使うことができるため、効果が上がるんですよ。

ウォーキング

 

インターバル速歩+牛乳で筋力アップ!


インターバル歩行を行った後30分以内に牛乳(200ml)または、ヨーグルトやチーズ、低脂肪牛乳などのアミノ酸を含む乳製品を摂取することで筋肉に効率よくタンパク質を取り込み筋力アップを図ることができると報告がありました。

また、インターバル速歩の後の牛乳やヨーグルト等の摂取は体の水分を保持し、血液循環の正常、浸透圧の維持にかかせない「血漿アルブミン量」が増加することで、真夏に多い脱水症状や熱中症予防に効果を発揮し、暑さにたえる強い体づくりができます。
きつめの運動により筋肉に損傷が起こり、それを修復しようとして筋肉はたくさんアミノ酸を取り込もうとします。それは、負荷をかけた運動をすると、その直後しばらくはタンパク質合成を促す「成長ホルモン」が多く分泌されます。この状態は運動後30分から1時間ほど続き、それ以上たつと徐々にアミノ酸を取り込もうとしなくなってしまうためインターバル速歩をした直後30分~1時間以内というタイミングがポイントです。

牛乳

 


今日のポイント
「歩く」事を積極的に日常生活に取り入れることがとーっても大事!

 

参考文献
「インターバル速歩」の効果に関する科学的証拠の構築とその将来展望
http://ci.nii.ac.jp/els/contents110006203723.pdf?id=ART0008224004
メリハリをつけて歩くインターバル速歩-その方法と効果のエビデンス-
http://ci.nii.ac.jp/naid/130004547544

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