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産業医の資格を取って知った使える知識3つ

ジャパンヘルスケア代表/医師の岡部です。

テレビで刑事役を務める俳優、例えば「相棒」の杉下右京役を務める水谷豊さんは1952年生まれで現在65歳、「古畑任三郎」の田村正和さんは73歳、「西村京太郎」の西本刑事を務める森本レオさんは74歳です。

みなさん、実年齢より若く感じられますよね。定年の65歳が当たり前だった時代は終わりを迎え、65歳を越えても若々しくいられる時代が始まっています。

2010年生まれで現在7歳の子たちは、その半数が100年生きると推定されています。私自身もこのままヘルスケアをきちんと行い、運が悪くなければ95歳くらいまで生きると思っています。(早く死んだとしてもそれはその時で後悔のない人生を歩んでいます。)
オススメの本「ライフタイムシフト」でも70-80歳代まで働くことが一般的になると言われており、うまく健康に気を使いながら働くことや、自然と健康的になる職場作りが重要です。

そんな働く人の健康を専門とするのが産業医であり、先日産業医の資格を取得してきました。

一週間まるまる朝8時10分から夜19時10分まで休憩時間ほぼなしで講習を受け続けてきたなかで、みなさんにも役立ちそうなことをシェアしたいと思います。

 

産業医の3管理


産業医が行う活動は、大きく分けて3つあります。

  1. 健康管理
  2. 作業管理
  3. 作業環境管理

これについて一つずつ具体例も交えて説明していきます。産業医にとっても、経営者も、一個人においても、この3つをそれぞれ分けて考えるといいですよ。

 

1.健康管理について 〜10分の運動が秘訣〜


健康管理とは、自分や対象となる人の「健康はどうなのか」を把握し、コントロールすることです。
よい食事や適切に運動を取り入れたり、メンタルヘルスに気をつけたり、健康診断を受けてチェックしたり、自分の病気をうまくコントロールしたりします。

そうは言ってもなかなか運動を取り入れられない人に朗報です。

「運動は30分以上した方が効果が高まる」というのは気にしなくてよいのです。

連続して30分運動するのも分割して10分を3回運動するのも、腹囲減少やLDLコレステロール値改善において効果は同じだったのです[1]。
まずは運動を取り入れることが大事です。10分×3回の運動だと汗もかきにくいですし、忙しい人でもやりやすいんじゃないでしょうか?

 

2.作業管理について 〜夜勤をすると病気になりやすい!?〜


作業管理とは、「どう働いているか」です。
例えば、重い荷物を持ったり、立ちっぱなしであったりと負担のかかる仕事なのか、仕事をする姿勢や仕事時間などを確認します。みなさんの仕事内容は健康面でどうでしょうか?

仕事時間について少し話すと、
例えば、産業化、都市化した現代では、夜まで働いている人も多いですよね。

労働者の23.9%、1584万人が深夜に働いているそうです[2]。

4人に1人ということですから、恐ろしい数字ですね。。夜に働くのが当たり前の人も多いと思いますが、夜に働くと本当に身体によくないです。糖尿病のなりやすさは2.62倍、心臓病での死亡リスクは2.3倍などとの報告もあります[3][4]。

その他にも睡眠障害、高血圧、不妊、ガンのリスクも高くなります。なるべく深夜に働かないこと、どうしても働かないといけない仕事でも交代制を整えるなどして十分な休暇や仮眠をとることが大事です。

 

3.作業環境管理について 〜あなたの机にエルボールール〜


作業環境管理とは、「どんな所で働いているか」です。
職場の環境を確認します。工場なら有害物質の取扱いなどが大事ですし、快適性を感じられるか、休憩・気分転換しやすいか、よい姿勢で働けるか、などの環境を整える必要があります。


健康経営オフィスレポートより

 

姿勢について言えば、「エルボールール」というものをご存知でしょうか?

立ち仕事における手の位置は、だいたい肘くらいになるのが一番よいのです。

正確には肘の高さより5cm低く、そこを中心に上下7.5cmの範囲がよいですよ。肘の高さが合っていないと疲れやすくてパフォーマンスが落ちますし、荷物を持ったりするような人は腰への負担がかなり変わってきます。

 

 

以上、産業医が行う3つの管理についてとこぼれ話を話しました。自然と健康的になる職場作りや、健康に気を使いながら働いて下さいね。

 

ジャパンヘルスケア代表/総合診療医 岡部大地

参考文献
[1]Industrial Health. 2013,51,563-571
[2]平成23年「労働安全衛生特別調査」。深夜業(原則として午後 10 時から午前5時までの間に行われる業務をさす。勤務時間の一部でもこの時間帯にかかる場合は、深夜業があるとした。「深夜業に従事した」とは、過去6か月間を平均して 1か月当たり4回以上の深夜業勤務を行ったことをいう。)
[3]Oyama et al. Scand J Work Environ Health 2012
[4]Fujino Y, et al. Am J Epidemiol. 2016 Jul 15;164(2):128-35.

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