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コミュニティにアプローチする歩行指導

ジャパンヘルスケア代表の岡部です。
現在歩き方をセンシングして、その人の歩行の見える化を行い、スマホ上で指導するアプリを作っています。
スマートシューズとアプリを使ってもらえれば、自分の歩き方のバランスが悪かったり、かっこ悪いことに気付いてもらって、正していけるという流れですね。

これだけでも十分効果があると思って開発を進めているのですが、アプリだけのフィードバックでは改善しきれない部分があります。そこでアプリだけでなく、歩行のデータを理学療法士、トレーナー、モデル、整体師など歩き方の専門家に見てもらい、一緒に指導してもらう形にするつもりです。

ただ最近の予防医学の研究では、個人へのアプローチには限界があるのも事実です。

医学会では最も権威があるエビデンスの集約・発信を行っているコクランレビューでは、これまでの各国で行われた研究をまとめあげ、トータル16万人に対する生活習慣指導の効果を検証し、心疾患への効果はほとんどないか全くないと結論付けています(※1)。

歩き方の指導もこの壁を越えないといけないと感じてはいます。個人の指導で改善ないならどうすればよいか。一つの答えは、コミュニティ単位、地域単位へのアプローチだと思います。

うちの研究室ではそういった研究を多くしており、例えばスポーツの会などが多い地域は転倒しにくく、要介護になりにくいといった報告があります。

↑スポーツの会に多く参加している地域は(右に行けばいくほど)、要介護認定を受けにくいという結果です。(※2)

そこで歩き方を見える化するだけでなく、それを家族、企業、地域などで共有し、全体の改善を測るような形ができれば、本当に人の歩きが変わり、最終的に病気や痛みがもっと減るのではないかと考えています。

まだ漠然としたアイデアなのですが、うまく形にできるように考えていきたいと思います。

 

JAPAN HEALTHCARE代表/総合診療医 岡部

引用文献

※1.Ebrahim, S; Taylor, F; Ward, K; Beswick, A; Burke, M; Davey Smith, G (2011) Multiple risk factor interventions for primary prevention of coronary heart disease. Cochrane Database Syst Rev, 1. CD001561. ISSN 1469-493X DOI: 10.1002/14651858.CD001561.pub3

※2. 伊藤大介,近藤克則.要支援・介護認定率とソーシャル・キャピタル指標としての地域組織への参加割合の関連-JAGESプロジェクトによる介護保険者単位の分析-.社会福祉学,2013,54(2),p.56-69

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