医療と健康のBLOG | ジャパンヘルスケア

健康経営で絶対に押さえるべきプレゼンティーズムについて

この記事を読むのに必要な時間は約 7 分です。

ジャパンヘルスケア代表医師の岡部です。現在は足の専門医として診療していますが、産業医の資格も持っています。

近年「健康経営」がテレビや雑誌でもよく取り上げられていますね。健康経営とは、英語でHealth and Productivity Managementであり、企業における従業員の健康(Health)と生産性(Productivity)の両方を追求しようという考えです。その健康経営の中でも、今「プレゼンティーズム」が注目されています。

みなさんはプレゼンティーズムをご存知でしょうか?

プレゼンティーズムを解消すると、企業規模によっては億単位のコストを削減でき、従業員も元気に気持ちよく働くことができます。今日はそのプレゼンティーズムについてなるべく分かりやすくお伝えしたいと思います。

プレゼンティーズムとは?


プレゼンティーズムとは、「何らかの疾患や症状を抱えながら出勤し、十分にパフォーマンスが上がらない状態」のことを言います。

病欠で休んでしまうのがアブセンティーズムに対し、出勤しているにも関わらずパフォーマンスが下がっている状態がプレゼンティーズムです。

プレゼンティーズムやアブセンティーズムはそれ自体が生産性を下げていますが、その他にもいろいろな影響があります。

例えば、チーム内のほとんどのメンバーの健康状態は良好でも、一人の健康状態が悪く、プレゼンティーズムが発生していれば、チーム全体の生産が滞ってしまう可能性があります[1]。

さらにチームの生産性の低下をカバーするため短期的に100%以上の力を発揮している同僚の中には、そうした状態が続けば中長期的に健康を害する可能性もあります。

また休暇中に別の労働者の採用や訓練コストが新たに発生するほか、離職した場合にはそれまでに投下した採用・訓練コストが回収できないことがあります。

 

プレゼンティーズムは医療費コストの3倍


プレゼンティーズムが注目されている最も大きな理由は、そのコストです。

すでに海外で報告されていましたが、医療費は健康関連コスト全体の4分の1でしかありません。

プレゼンティーズム+アブセンティーズムが残りの4分の3を占めています。

日本においても産業医科大学の永田智久先生が2018年に執筆された論文で、ほぼ同様の割合であることがわかりました[2]。

日本の健康経営において永田先生の功績は大きいと個人的に感じています。

これを見れば、医療費を減らそうとか、適正化しようとするのは「部分最適」でしかないことがわかります。

生活習慣病対策やがん対策だけでは、一部分にだけ注目してしまっていることになります。

これからの健康経営は医療費だけをコスト削減や、プレゼンティーズムだけを解消するのでなく、「全体最適」を目指すべきです。上図の円全体のパイを縮小する方向ですね。

医療費とプレゼンティーズムは影響し合う


考えてみれば当然ですが、医療費とプレゼンティーズムは影響し合います。

大まかな流れとして、体調不良が続けば医療費になりますし、医療機関に受診するような人は職場を休んだりするものです。

アメリカの論文でも健康リスクが多い人が、生産性が下がっていることが示されています[3]。

 

健康経営で業績が伸びる


きちんと健康経営に取り組めば、生産性のロスを解消でき、従業員が元気に働くことでパフォーマンスが上がり、病気の予防につながりうるので、中長期的に業績が伸びてしかるべきかと思います。

個人で考えても、自身の健康を大事にすればパフォーマンスが上がりますよね。組織全体でも同様です。

具体的なエビデンスとしては、アメリカの論文で報告されています[4]。

優良健康経営認定企業とS&P500社平均の長期的なパフォーマンス比較をしており、一般企業よりも健康経営に取り組んでいる企業に投資した方が投資成果を見込めたことが示されています。

健康経営で見落としがちな運動器疾患コスト


これまで医療費コスト削減が中心であったため、健診の受診や禁煙対策、生活習慣病の是正がよく行われてきました。

しかしプレゼンティーズムも含めた健康関連コスト全体で考えると、優先度が変わってくるかもしれません。

プレゼンティーズムコストをもたらす疾患ランキングでは、下図のピンク色で示したように、メンタルヘルス関連のコストが大きくなっています。

ICD10の疾患分類ではメンタルヘルスに該当しないものの、倦怠感や頭痛、繰り返す下痢・便秘、皮膚掻痒感、更年期障害、胃十二指腸潰瘍、胸焼けもストレスが原因になっていることは多いです。

全体としてはほとんどの企業においてメンタルヘルスが最も大きな健康関連コストになっていることでしょう。

そしてメンタルヘルスの次にコストが大きいのが運動器疾患です。

上図で黄色に示しているように、肩こり、腰痛、関節痛が上位にランクインしています。

トータルコストでも運動器疾患は年1000人あたり約1億円のコストになっています。

これらを減らすことができればいいですよね。

さらに運動器疾患は、生産性低下だけでなく、将来の医療費としても大きな割合を占めてきます。実は、循環器疾患、癌の次に運動器疾患は医療費がかかっています。整形外科を受診するおばあちゃんが多いのはみなさんもご存知の通りかと思います。

私は診療する中で、ひざや腰が痛いというおじいちゃん、おばあちゃんを沢山診て、根本的に治すことができないことに違和感を強く感じてきました。高齢者の2人に1人は困っているこの痛みを、若いうちから対策しておくことで予防・軽減することが可能です。

そこでジャパンヘルスケアは、この運動器疾患を予防システムの構築を目指しています。特に「歩き方の可視化」を軸に身体を可視化し、綺麗で健康的な身体づくりをサポートしています。

健康経営として取り組むことで、企業の収益を上げることもでき、従業員も元気に働くことができ、将来の痛みを予防することができます。

そうやって誰もがいつまでも自分の足で歩き続けられる社会を実現したいと思います。

 

まとめ


・プレゼンティーズムとは、「何らかの疾患や症状を抱えながら出勤し、十分にパフォーマンスが上がらない状態」のこと
・プレゼンティーズムは医療費コストの3倍にのぼる
・これからの健康経営ではプレゼンティーズムを含む生産性と医療費の全体最適をはかる
・疾患別ではメンタルヘルスと運動器疾患によるコストが大きい

参考文献
[1]黒田 祥子 :健康資本投資と生産性(2018)https://www.jil.go.jp/institute/zassi/backnumber/2018/06/pdf/030-048.pdf
[2]Nagata T et al. Total Health-Related Costs Due to Absenteeism, Presenteeism, and Medical and Pharmaceutical Expenses in Japanese Employers. J Occup Environ Med. 2018;60:e273-e280
[3]Boles, M., Pelletier, B., & Lynch, W. (2004). The relationship between health risks and work productivity. JOEM, 46(7), 737-745. 
[4]Fabius R et al. The link between workforce health and safety and the health of the bottom line: tracking market performance of companies that nurture a “culture of health”. J Occup Environ Med. 2013 Sep;55(9):993-1000.

 

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岡部大地

岡部大地

代表取締役医師ジャパンヘルスケア
足を専門に診る足病医。千葉大学大学院で痛みに関する先進予防医学研究も行う。株式会社ジャパンヘルスケアの社長を務め、ヒールにセンサーを装着して歩き方を解析する「スマートヒール」のプロトタイプを開発。現在は3Dデータから歩き方を可視化する「MirrorWalk」を展開中。運動器疾患の予防システムを構築し、いまもこれからも豊かな暮らしの実現に奔走する。
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